安全保障貿易管理ハンドブック
発行機関:経済産業省
発行年月日:2017年10月https://www.meti.go.jp/policy/anpo/seminer/shiryo/handbook.pdf
安全保障貿易管理とは
武器そのものの他、高性能な工作機械や生物兵器の原料となる細菌など、軍事的に転用されるおそれのある物が、大量破壊兵器等の開発者やテロリスト集団など、懸念活動を行うおそれのある者にわたらないようにするのが安全保障貿易管理です。
日本を含む国際社会が一体となって安全保障貿易管理に取り組んでおり、日本にとっても、他国やテロリストから攻撃を受けないようするための方策の一つです。
某国の核実験やミサイル発射等にも見られるように大量破壊兵器や通常兵器の拡散は大きな国際問題となっています。
国際的な情勢不安等を以前に防ぐため、先進国を中心として輸出管理レジーム(体制)により輸出管理を推進しています。
日本においては外国為替及び外国貿易法(外為法(がいためほう))に基づき、管理されています。
輸出管理レジーム(体制)とは
輸出管理レジームには以下の規制が含まれます。
- 生物兵器・化学兵器等の関連資機材・技術を規制するオーストラリア・グループ(AG)
- ミサイル関連資機材・技術輸出規制であるMTCR
- 通常兵器関連貨物・技術を規制するワッセナー・アレンジメント(WA)
- 原子力関連資機材・技術を規制する原子力供給国グループ(NSG)
日本は、アメリカ合衆国、フランス、英国、ドイツ、大韓民国と同様にすべての国際的な輸出管理のレジームに参加し、国際的な安全保障輸出管理に参加しています。
輸出令別表第3では、上記のレジームすべて参加し、かつ、安全保障に関わる輸出管理を厳格に実施している国(27カ国)を定めホワイト国と呼んでいます。
日本の輸出管理上は、キャッチオール規制等において、ホワイト国を対象とする貨物の輸出・技術の提供は規制の対象外とする等の規制の緩和が行われています。
(参考)ワッセナー・アレンジメントについて
ワッセナー・アレンジメント(WA)は地域紛争防止の観点から、通常兵器の過度な蓄積の防止を目的に、通常兵器及びその開発・製造・使用に供されるおそれのある汎用品(技術を含む。)の輸出管理のレジームです。
WAは、法的拘束力を有する国際約束に基づく枠組ではなく、参加国による紳士的な申合せとして存在しています。
日本の輸出規制について
日本では外為法という法律に基づき輸出規制を行っております。以下の2つの規制に該当する輸出は事前に経済産業大臣の許可が必要になります。
※外為法では物の輸出だけではなく、技術提供も規制対象となります。そのため、暗号化方式等の輸出に関しても規制対象となります。
リスト規制品
兵器そのものや兵器の開発に利用できる高性能の汎用品15項目
- 武器
- 原子力
- 化学/生物兵器
- ミサイル
- 先端材料
- 材料加工
- エレクトロニクス
- コンピュータ
- 通信関連
- センサー/レーザー
- 航法関連
- 海洋関連
- 推進装置
- その他
- 機微品目
キャッチオール規制品
リスト既製品に該当しないものの内、「1.用途要件」、「2.需要者要件」の確認を行い、規制に該当する場合
輸出管理に関する法規等
国 | アメリカ | 日本 | 中国 |
監督官庁 | 商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Securit) | 経済産業省(輸出管理の窓口) | 税関総署 |
根拠となる法律 |
1979年輸出管理法(長年失効状態) 2018年ECRA |
外為法 | 対外貿易法 |
規則 | 輸出管理規則(The Export Administration Regulations: EAR) | 輸出管理令(Export Control Order) 外国為替令(Foreign Exchange Order) |
貨物輸出入管理条例 |
リスト | 商務省 規制品目リスト(Commerce Control List: CCL) | リスト規制品/キャッチオール規制品 | 輸入禁止輸出禁止貨物目録 |
※上記は公開されている情報からまとめました。内容について裏付け(情報解釈の仕方等)は取れていません。
その他参考
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/seminer/shiryo/setsumei_anpokanri.pdf